SeeStar S50で月を観測する方法についてまとめました。
SeeStar S50で「月」を撮影
スマート望遠鏡「SeeStar S50」の焦点距離は250mm、視野角は1.48°で月全体がちょうど収まるように撮影することができます。以下の写真と動画は、SeeStar S50で月を撮影したものです。特に複雑な操作は必要なく、誰でも簡単に撮影できます。
■写真① SeeStar S50で撮影した月の写真(ゲイン・露光時間小さめ)
■写真② シャープ化(+20)
■写真② シャープ化(+40)
■動画① 満月をデフォルト設定のまま撮影した動画
■動画② 「ゲイン」と「露光時間」を小さくして撮影した動画
今回は、「SeeStar S50」で月を撮影する方法を紹介します。
動画で見る
本ページの内容は以下動画で解説しています。
【2025年版】
月を自動導入する手順
① アプリを開き、「太陽系」 → 「Moon(月)」 → 「観察する(Go to)」を選択します。
② 月を導入すると、「月が中心にありますか?」というポップアップ画面が表示されたら「はい」をタップします。
③ 望遠鏡が自動で追尾してくれます。
【実演解説動画】
撮影画面の使い方
① 自動導入が完了すると、撮影画面が開きます。撮影画面に備わっている基本的な調整機能は以下のとおりです。
項目 | 説明 |
---|---|
天体ロック機能 | 月を画面の中央に固定し、追尾し続ける機能。観察中に月がずれないようにする。 |
明るさ調整 | 下部に調整バーがあります。このバーを左右にスライドすることで、「露光時間」と「ゲイン」を一括調整できます。より細かく手動で調整したい場合は、「自動」をタップします。すると、「露光時間」と「ゲイン(感度)」を手動で設定できます。 |
露光時間 | 月の明るさに応じて、白飛びを防ぎ細部を描写する(1ms〜数秒まで調整可能) |
ゲイン | 感度を調整して、暗部のディテールを強調する(高すぎるとノイズが増えるので注意) |
AF(オートフォーカス) | 自動でピントを合わせる機能。月面のクレーターなどを鮮明に撮影する際に便利。 |
デジタルズーム | 拡大表示(1x, 2x, 4x)をタップすると、デジタルズームにより、1倍、2倍、4倍に切り替えできます。 |
② 月は明るいため、「露光時間」や「ゲイン」を控えめに設定するとクレーターがくっきり見えます。(以下は、設定の目安です)
状況 | 露光時間 | ゲイン |
---|---|---|
満月(明るい) | 1〜5ms | 低め(10〜30) |
上弦・下弦(月面の陰影が強い) | 5〜20ms | 中程度(30〜60) |
月の縁やクレーター狙い | 10〜50ms | 高め(60〜80) |
③ 撮影モードは「写真」「タイムラプス」「ビデオ」の3つがあり、スマホのカメラアプリのように下部メニューで切り替えできます。
撮影モード | 説明 |
---|---|
写真 | 静止画撮影。月面のクレーターや模様を記録するのに適しており、シャープ処理も可能。 |
タイムラプス | 一定間隔で連続撮影し、時間の流れを圧縮して動画化。月の動きや雲の流れに最適。 |
ビデオ | 動画撮影。通常はMP4形式で保存されるが、Rawモードでの撮影も可能。(ビデオスタック機能を使うにはRawモードにする必要がある) |
実演解説動画

ビデオスタックの使い方
ビデオスタックとは、動画の各フレームから画質の良いものを選び出し、位置を揃えて重ね合わせることで、ノイズを除去し、細部を強調する技術です。天体写真の場合、大気の揺らぎ(シーイング)によるブレを平均化できるため、月のクレーターや木星の縞模様をくっきり写すことができます。
① 惑星を自動導入した後、RAWモードをオンにします。
② 動画を撮影します。(動画データはSeeStar本体に保存されます)
※ 1分の動画だと、次に紹介するビデオスタックの処理が10分くらい掛かります。
③ SeeStarアプリを起動し、「Myアルバム」から本体内のRAW動画を選択します。
④ サムネイル左上に「RAW」マークがある動画を開くと、上部に「スタック」ボタンが表示されます。ボタンを押すと自動でビデオスタック処理が始まります。(100%になるまでしばらく掛かるので待ちましょう)
⑤ スタック後の画像はライブスタックと同様、画像編集が可能です。(明るさ・コントラスト・彩度・シャープ化など)
実演解説動画

シャープ化(クレーターなどの細部を強調)
ビデオスタックして作成した写真は、アプリでの画像処理によりシャープ化(クレーターなどの細部を強調)することが可能です。
①「Myアルバム」からSeeStar本体内にあるビデオスタックで生成した「月の写真」を選択します。
② 右上の「編集」をタップします。
③ 下にある「⊿」アイコンをタップすると、シャープ化するための数値調整ができます。
実演解説動画
撮影結果(2025年8月)
以下の写真は、2025年8月に光害地の都会からSeeStar S50で撮影した月です。
1枚目:惑星撮影中に撮影ボタンを押して保存した写真
2枚目:8秒の動画からビデオスタックで生成した写真
3枚目:60秒の動画からビデオスタックで生成した写真
土星食(2024年12月8日)
2024年12月8日に、土星食(月が土星を隠す)がありました。SeeStar S50で撮影した結果は以下のとおりです。土星の輪を取りたかったので、ゲインと露光時間を高めで撮影しました。(月が明るすぎて白飛びしています)
【切り抜き版】
【全編版】
参考文献:国立天文台の特設ページ
皆既月食(2025年9月8日)
2025年9月8日に、日本全国で皆既月食が見られます。(2022年11月8日以来、約3年ぶり)
国立天文台のHPによると、東京の夜空で以下のようなスケジュールで皆既食が見られるとのことでした。
日時 | 状態 | 位置 |
---|---|---|
9月8日午前1時27分 | 部分食(欠け始め)が始まる | |
9月8日2時30分~3時53分 | 完全に月が地球の影に入る皆既状態となる(月が赤銅色(しゃくどういろ)に輝く) | |
9月8日4時57分 | 部分食が終わる |
参考文献:皆既月食(2025年9月) | 国立天文台(NAOJ)
以下の動画は、「SeeStar S50」で撮影した皆既月食のタイムラプス動画です。赤銅色に輝く月を捉えることができました。
詳細は以下ページで別途解説しています。

関連ページ(SeeStarについてもっと知りたい人向け)
SeeStar S50の基本的な使い方や、他の天体を撮影した結果は以下ページにまとめています。

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