【SeeStar S50】バラ星雲を光害地から簡単に撮影する方法

バラ星雲(NGC 2237, 2246)をSeeStar S50で簡単に撮影する方法と作例について解説します。

バラ星雲(NGC 2237, 2246)

バラ星雲 (The Rosette Nebula 、NGC 2237-9, 2246、Caldwell 49)は、いっかくじゅう座に位置する美しい散光星雲です。その名のとおり、赤いバラのような美しい姿をしていることから「バラ星雲」と呼ばれています。バラ星雲は、中心部にある散開星団NGC 2244を取り囲むように広がっています。眼では感じにくいHα線の成分が強いため肉眼で見ることが難しい天体です。

項目 概要
距離 約5,200光年
大きさ 直径約130光年
位置 いっかくじゅう座の方向にあり、赤経06h31m55s、赤緯+04°56’30″に位置し
明るさ 視等級は約1.6等級で、肉眼でも5〜7個の星が見えます。双眼鏡や小型望遠鏡を使うと、数十個の青白い星が見えます。

秋から冬にかけての南の夜空で最も観察しやすい天体の1つです(stellarium web版などで簡単に位置を確認できます)。

天体望遠鏡や一眼レフで撮影するには、機材や知識が必要で大変ですが、スマート望遠鏡「SeeStar S50」を使えば、簡単にバラ星雲を撮影できます。

動画解説版

スマート望遠鏡「SeeStar S50」とは?

スマート望遠鏡とは、天体の電視観望に必要な機器(望遠鏡本体、電動フォーカサー、天体カメラ、制御用コンピューター、経緯台、ヒーター、光害カットフィルターなど)が1つにまとまった天体観測装置です。最大の特徴は、複雑な機材の組み合わせや設定が不要で、本体さえ購入すれば、手持ちのスマートフォンからすぐに天体撮影が始められる点にあります。

その中でも注目を集めたのが、2023年に登場した「Seestar S50」というスマート望遠鏡です。これは、天体カメラやASIAIRの開発で知られるZWO社が発売したスマート望遠鏡で、従来のスマート望遠鏡が数十万円以上と高価だった中、約6万円という驚きの価格で登場しました(現在は値上げで約85,000円)。

SeeStar S50の特徴をまとめると以下のとおり。

① 本体を設置・起動し、スマホアプリで星を指定するだけで撮影できる
(複雑な機材の準備や知識不要)
② スマホアプリだけで天体の撮影から画像処理まで行える
(PCや有料ソフトなしで、天体写真のノイズ除去や補正ができる)
③ 定期的なアップデートにより、機能が強化される
(AIノイズ除去、スケジュール撮影、モザイク撮影、4K撮影モードなど)
④ レンズや天体カメラの交換ができない(倍率固定)

「SeeStar S50」の詳細については、以下ページや解説動画集をご参照ください。

【SeeStar S50超入門】使い方や作例などを丁寧に解説
スマート望遠鏡「SeeStar S50」の使い方や作例について初心者向けに解説します。

SeeStar S50での撮影方法

スマート望遠鏡「SeeStar S50」で撮影する方法は以下のとおりです。

① SeeStar S50とスマートフォンをWi-Fi接続し、アプリのトップ画面から「星雲・星団」 → 「星雲」をタップします。

② 「NGC 2237 Rosette Nebula」の欄にある「Go To」をタップします。

③ 自動導入が完了したら、自動的に「画像補正の準備」 → 「オートフォーカス」 → 「ライブスタック撮影」が開始されます。ただし、このままだとバラ星雲全体が画角に収まらないため、ライブスタック撮影は停止します(フレーミング機能で撮影範囲を広げます)。

【フレーミング機能】
通常の視野の縦横2倍、面積で最大4倍の範囲まで撮影できる機能です。SeeStarの通常の視野だと、バラ星雲全体が収まりません。フレーミング機能を使えば全体を収めることができるようになります。詳細は以下ページと動画で解説しています。

【SeeStar S50】モザイク撮影機能(フレーミング機能)の使い方
Seestar S50のモザイク撮影機能(フレーミング機能)を使う方法について解説します。

④ 撮影画面の右下にある星座アイコンをタップします。

⑤ 星図画面が開いたら、右にある「Framing(フレーミング)」をタップします。

⑥ 画面下の「🔍️アイコン」をタップすると、撮影範囲を通常の視野の縦横2倍まで指定できます。「回転アイコン」をタップすると、撮影範囲の画角を指定できます。

⑦ 撮影範囲の設定が終わったら、画面左上の「▼」をタップして撮影画面に戻り、撮影ボタンを押します。これで広範囲の撮影が開始されます。

画像処理(AIノイズ除去など)

撮影した天体写真をSeeStarアプリで画像処理することができます。やり方は以下のとおりです。

① SeeStarアプリトップ画面から「Myアルバム」→「SeeStar S50」 → 「該当の天体名」 → 「編集したい写真」を選択します。

② 右上の編集アイコンをタップし、数十秒くらい待つと背景ノイズが除去され明るさも補正された画像が表示されます。

③ 「明るさ」「コントラスト」「彩度」「画像サイズ」を調整し、右上の「⇑」をタップします。

④ 「ダウンロード」をタップすると、スマートフォン内部に画像処理後の天体写真が保存されます。

作例(2025年11月4日)

以下の写真は、超光害地(ボートル8.9)から、バラ星雲をフレーミング機能で88分間ライブスタック撮影したものです。
SeeStarアプリで「AIノイズ除去」と「コントラストおよび彩度」を補正しています。

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関連ページ

SeeStar S50の様々な使い方については以下ページで解説しています。

【SeeStar S50超入門】使い方や作例などを丁寧に解説
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