LUMIX DC-TZ99の購入レビュー(長所と短所がはっきりした、貴重な超望遠コンデジ)

長所と短所がはっきりした貴重な超望遠コンデジ「LUMIX DC-TZ99」の購入レビューです。

「LUMIX DC-TZ99」の特徴

「LUMIX DC-TZ99」は、光学30倍ズームを搭載したパナソニックのコンパクトデジタルカメラです。ハイエンドスマホや一眼レフと比べれば、暗所性能やボケ表現、動画撮影の制限など、画質や細かい機能で劣る部分は多いです。しかしそれでもなお、「ポケットに入るサイズで光学30倍ズーム(720mm)を搭載」という点において、「LUMIX DC-TZ99」は非常に価値があります。


※上写真は購入した白色バージョンの「LUMIX DC-TZ99」です。

近年のハイエンドスマホは30倍、50倍、100倍といった超望遠を謳っていますが、AIによる超解像処理に依存しており、10倍を超えると「現実とは異なる補正写真」になりがちです。一眼レフで同等の超望遠を実現しようとすると、大きく重いレンズが必要となり、気軽に持ち歩くのは難しくなります。(費用も高額)

以下の写真は、数十m先にあるガンダム立像をハイエンドスマホ「Pixel 9 Pro」と「LUMIX DC-TZ99」の30倍付近で手持ち撮影したものです。「Pixel 9 Pro」は、AIによる超解像処理により「E.F.S.F」や「RX-93」などのロゴが変な文字になっています。一方、「LUMIX DC-TZ99」は正しくリアルに撮影できています。

「Pixel 9 Pro」と「LUMIX DC-TZ99」の比較結果については、以下ページと動画で詳しく紹介しています。

超望遠コンデジ「DC-TZ99」と望遠スマホ「Pixel 9 Pro」のカメラ性能比較
超望遠コンデジ「DC-TZ99」と望遠スマホ「Pixel 9 Pro」のカメラを比較しました。

このように「LUMIX DC-TZ99」はポケットサイズでありながら、光学ズームによるリアルな超望遠撮影を日常的に楽しめるという点が最大の魅力です。例えば、遠くに珍しい鳥を見つけとき、ポケットから取り出して片手で超望遠撮影できるのが「LUMIX DC-TZ99」の良さです。また、デジタルカメラの値上げが激しい中、6万円台で新品を入手できるのも嬉しいところです。

なお、本ページの内容は以下動画でも解説しています。

良い点(長所)

「LUMIX DC-TZ99」の良い点(長所)をまとめると、以下のとおりです。

特徴 概要
コンパクトかつ軽量 ・突起部を除くとサイズは「約幅112.0×高さ67.8×奥行き43.1mm」とコンパクトで、ポケットに収まる。
・重さは約322g(カード・バッテリー含む)と軽量で、日常の散歩や旅先でも気軽に持ち歩きできる。
超望遠撮影が可能 ・広角で光学30倍(35mm判換算で24mm〜720mm)まで対応(日中なら遠くの被写体も鮮明に撮影)
・世界的に評価の高いLEICA DCレンズを搭載。
手ぶれ補正が優秀 光学30倍(720mm)の望遠端でも、静止画なら手持ちでブレを抑えて撮影可能(※動画撮影は手持ちだとブレる)。
AFが高速 ピント合わせが速く、野鳥や飛行機などの動きのある被写体を素早く撮れる。
液晶モニターが180度チルト式 液晶モニターを180度動かすことができ、自撮り、グループ撮影、ローアングル&ハイアングル撮影など、多彩なアングル撮影が快適。
スマホ連携機能(無線接続) ・専用アプリで遠隔操作可能。(リモートシャッターやリアルタイムでプレビューができ、暗所撮影や自撮りなどで便利
・Wi-Fi経由で写真や動画をスマホに転送可能。
USB Type-C対応 USB Type-Cケーブルでモバイルバッテリーから充電できます。スマートフォン用と分けて充電ケーブルを2種類持ち運ばなくて良いのがありがたいです。(競合する超望遠コンデジや旧機種は、Micro USB Type-Bであることが多い)

良くない点(短所)

「LUMIX DC-TZ99」の 良くない点(短所)をまとめると以下のとおりです。

特徴 概要 対策
暗所性能は弱め センサーサイズが1/2.3型と小さいため、夜景や室内など暗い場所ではノイズが出やすく、高感度撮影には不向きです。 ・三脚や一脚を使用し、手ブレを抑えて長時間露光撮影。
・RAW撮影して後処理でノイズ低減。
ボケ表現が苦手 開放F値が暗く、前景や背景を大きくぼかすのは難しく、一眼カメラのような立体感は出にくいです。 ・望遠端を使い、被写体と背景の距離を大きく取ることでボケを強調。
・RAW撮影して画像編集ソフトで後からボケ加工。
動画性能は限定的 4K動画は撮影可能ですが、フレームレートは30fps、最大録画時間は15分までに制限されています。フルHD動画であれば60fpsで撮影可能。 Vlog用ではなく、野鳥観察や旅行記録用と割り切る。
EVF(ファインダー)がない 残念ながら、前モデル(TZ95D)に搭載されていたEVF(電子ビューファインダー)が省略されています。 ・明るい屋外では液晶モニターが見づらくなるため、日陰を利用する。
簡易ファインダー(液晶モニタールーペ)を使う。
Wi-Fi転送が遅い Wi-Fi経由で撮影した写真や動画をスマホに転送する際、速度が遅く複数枚のまとめ転送には不向きです。 SDカードリーダーを使って有線接続で転送する。

コンパクトかつ軽量

突起部を除くとサイズは「約幅112.0×高さ67.8×奥行き43.1mm」とコンパクトで、ポケットにも収まります。重さも約322g(カード・バッテリー含む)と軽量で、日常の散歩や旅先でも気軽に持ち歩けます。ただし、一般的なスマートフォンと比べると1.5~2倍くらいの重さがあるので、デジタルカメラでの撮影に慣れていない人にとってはずっしりとした重さは感じます。

上の写真は、起動してレンズが出た状態の「LUMIX DC-TZ99」です。
前面と液晶モニタです。電子ファインダー(EVF)はないですが、液晶モニタが明るいため日中でも見ながら撮影できました。

超望遠撮影が可能 & 手ぶれ補正が優秀

「LUMIX DC-TZ99」は広角で光学30倍(35mm判換算で24mm〜720mm)まで対応。明るい昼間であれば遠くの被写体も鮮明に捉えることができ、旅先での風景や野鳥観察、スポーツ観戦などで大活躍します。さらに、世界的に評価の高いLEICA DCレンズを搭載しています。また、 手ぶれ補正が優秀なため、静止画撮影であれば手持ちでブレずに超望遠撮影(光学30倍)できます。

野良猫の超望遠撮影

以下は、夕方に撮影した野良の三毛猫です。2枚目は望遠端(720mm、光学30倍相当)で撮影しました。

建物の超望遠撮影

以下の写真は、曇りの日中に撮影した京都タワーです。1枚目は望遠なし(広角1倍)、2枚目は望遠端(720mm、光学30倍相当)で撮影しました。中にいる人の姿勢もはっきり見えます。

月の超望遠撮影

以下の写真は、夜に月を望遠端(720mm、光学30倍相当)で撮影したものです。クレーターまでバッチリ映ります。

「LUMIX DC-TZ99」の作例は以下ページで紹介しています。

【DC-TZ99】野鳥、動物、風景、月、花火などの作例集
LUMIX DC-TZ99で私が撮影した野鳥、風景などの作例をまとめました。

AFが高速

「LUMIX DC-TZ99」は、AF(オートフォーカス)のピント合わせが速いため、野鳥観察や動きのある被写体を素早く撮る用途にも適しています。
以下の写真は、望遠端(720mm、光学30倍)で日中に撮影したスズメです。

画像が表示されない場合はこちらをクリックしてInstagramで見る

夕方に撮影したスズメの写真です。散歩中に電柱の上からスズメの鳴き声が聞こえたので、カバンから「LUMIX DC-TZ99」を取り出して、すぐに撮影しました。こういった手軽さが「LUMIX DC-TZ99」の魅力ですね。

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180度チルト式モニター

液晶モニターを180度動かすことができるため、自撮り(セルフィー)、グループ撮影、ローアングル&ハイアングル撮影など、多彩なアングル撮影が楽になります。
以下写真は、植物をローアングルで撮影している様子です。しゃがまず立ったままローアングル撮影ができるため、足腰の負担が軽いです。

スマホ連携機能(無線接続)

「LUMIX DC-TZ99」は、専用アプリ「Panasonic Image App」を使えばスマートフォンから遠隔操作でき、自撮りや夜景撮影に役立ちます。
例えば、長時間露光で花火を手持ち撮影すると、以下写真のように手ブレの影響で花火がぶれてしまいます。

「LUMIX DC-TZ99」は、センサーサイズが1/2.3型と小さいため、暗所では長時間露光で撮影する必要がありますが、三脚に固定してもシャッターボタンを手で押すと、そのときの振動で写真がブレてしまいます。タイマー機能を使う手もありますが、花火などの動く被写体だとタイミングを見計らうのが難しいです。

そこで、遠隔操作でシャッターを切る(リモートシャッター)と、手振れの影響が無くなります。以下は、「Panasonic Image App」アプリで遠隔操作しているときの様子です。

以下写真は、リモートシャッターで花火を撮影したものです。ブレなく花火を撮れていることがわかるかと思います。

2024年に発売された「LUMIX FZ85D」はEVFと光学60倍ズームを備えていますが、スマホ連携(Wi-Fi、Bluetooth)機能が搭載されておらず、花火撮影時に手動でシャッターを押す必要があるため手振れの影響を受けやすいです。
【DC-TZ99】スマホとWi-Fi接続してデータ転送 & 遠隔操作する方法
「LUMIX DC-TZ99」と「Androidスマホ」をWi-Fi接続してデータ転送や遠隔操作する方法を解説します。
【LUMIX DC-TZ99】花火を綺麗に撮影する方法
望遠コンデジ「LUMIX DC-TZ99」で花火を綺麗に撮影する方法を解説します。

また、写真や動画をスマートフォンに転送することもできますが転送速度が遅いです。そのため、複数の写真や動画を一括で転送する際、以下のような小型の「SDカードリーダー」を使って直接転送するのがおすすめです。


※上写真は、「LUMIX DC-TZ99」から取り出したSDカードを、「SDカードリーダー」経由でスマートフォンに接続している様子

持ち運びも楽で、Wi-Fi接続より手間は掛かりません。また、USB Type CとType Aの両方に対応しているため、汎用性も高いです。

USB Type-C対応

「LUMIX DC-TZ99」は、USB Type-Cケーブルでモバイルバッテリーから充電できます。充電ケーブルを2種類持ち運ばなくて良いのはありがたいです。(競合する超望遠コンデジは、Micro USB Type-Bであることが多い)

ただし、「USB Type-Cケーブル」と「USB接続口のカバー」が干渉しやすく、差し込むたびに少しストレスを感じるのが残念なポイントです。

EVF(ファインダー)がない

残念ながら、前モデル(LUMIX DC TZ95D)に搭載されていたEVF(電子ビューファインダー)が省略されています。ただし、「液晶モニタールーペ」があれば簡易ファインダーとして使うことができます。

「液晶モニタールーペ」は、フードで覆われたルーペーです。以下写真のように、「LUMIX DC-TZ99」の液晶モニター上に取付けます。

ルーペを覗き込むと、以下写真のように「ファインダー(EVF)」っぽく液晶画面を確認できる便利アイテムです。スマートフォンで無理やり撮影したため少し歪んでいますが、実際は普通のファインダーのように綺麗に見えています。

晴天下や明るい環境など、屋外撮影では液晶画面が見えにくい場合があります。そのようなときに、「液晶モニタールーペ」を取り付けると、液晶画面がEVF(電子ファインダー)のようになるため、屋外撮影でもピント合わせが快適に行えます。また、両手と目の周りの3点でカメラ本体を支えることができるため、カメラが安定してブレにく、手の疲れも軽減です。特に暗所や望遠時の動画撮影では、手ブレの影響を受けやすいため、効果を発揮します。

詳細は以下ページや動画で解説しています。

【DC-TZ99】簡易ファインダーを作る方法(液晶モニタールーペ使用)
望遠コンデジ「DC-TZ99」の簡易EVF(電子ファインダー)を液晶モニタールーペで作る方法を解説します。

まとめ

「LUMIX DC-TZ99」は、約6万円という手頃な価格で入手できるにもかかわらず、スマートフォンでは難しい、リアルな超望遠撮影が可能で、遠くの被写体を鮮明に捉えることができます。また、一眼レフのように大きく重たい機材ではなく、軽量でコンパクトなため、散歩や外出時にも気軽に持ち歩けるのも大きな魅力です。スマートフォンに加えてこの一台があれば、日常の風景から旅行先の景色、イベントや季節の行事まで、撮影の幅がぐっと広がります。お出かけがより楽しくなり、思い出を鮮やかに残すことができます。

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【楽天市場】「スーパーセール」や「お買い物マラソン」の攻略法まとめ
楽天市場で定期的に開催される「スーパーセール」や「お買い物マラソン」の攻略法について詳しく解説します。

関連ページ

LUMIX DC-TZ99の様々な使い方については、以下ページに詳しくまとめていますので、ご参考ください。

【LUMIX DC-TZ99超入門】使い方まとめ
望遠コンデジ「LUMIX DC-TZ99」の使い方について入門者向けに解説します。

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