【DWARFLAB DRACO超入門】使い方や作例を初心者向けに解説

DWARFLABのスマート望遠鏡「DRACO」を初心者向けに解説します。

「DRACO」とは

スマート望遠鏡とは、天体の電視観望に必要な機器(望遠鏡本体、電動フォーカサー、天体カメラ、制御用コンピューター、経緯台、ヒーター、光害カットフィルターなど)が1つにまとまった天体観測装置です。最大の特徴は、複雑な機材の組み合わせや設定が不要で、本体さえ購入すれば、手持ちのスマートフォンからすぐに天体撮影が始められる点にあります。DWARFLAB社は2026年に新型のスマート望遠鏡「DRACO」を発表しました。

主要なスマート望遠鏡との仕様比較

主要なスマート望遠鏡と仕様を比較すると以下のとおりです。

項目 DRACO(Standard / SHO) DWARF 3 DWARF mini SeeStar S50 Pro SeeStar S30 Pro
有効口径 90mm 35mm 30mm 望遠:50mm / 広角:3.4mm 望遠:30mm / 広角:3.4mm
焦点距離(F値) 340mm(F3.8) 150mm(F4.3) 150mm(F5.0) 望遠:260mm(F5.2)/ 広角:6mm(F1.75) 望遠:160mm(F5.3)/ 広角:6mm(F1.75)
望遠撮像センサー 1/1.3型(最大8192×6144) 1/1.8型 Sony IMX678(3840×2160) 1/2.8型 Sony IMX662(1920×1080) 1/1.2型 OmniVision OS08B10(3840×2160) 1/1.2型 Sony IMX585(3840×2160)
広角カメラ 1/1.55型(換算25mm相当、F1.9) 1/2.8型 Sony IMX307(換算45mm相当) 1/2.8型 OmniVision OS02K10(換算45mm相当) 1/2型 Sony IMX586(換算35mm相当、3840×2160) 1/2型 Sony IMX586(3840×2160)
ガイド専用センサー 約400万画素独立ガイドスコープ なし(メイン撮像併用) なし(メイン撮像併用) なし(メイン撮像併用) なし(メイン撮像併用)
センサー回転機構 搭載(物理回転・写野回転補正) なし なし なし なし
冷却・防曇機構 ペルチェ素子冷却・排熱防曇 なし(自然空冷) なし(自然空冷) レンズヒーター(冷却機構なし) レンズヒーター(冷却機構なし)
最大単露光時間 300秒 60秒 90秒(赤道儀モード) 経緯台時短秒(赤道儀モード対応) 経緯台時短秒(赤道儀モード対応)
内蔵フィルター 天体・ND(Standard)/ 天体・S+O(SHO) 可視光・天体・デュアルバンド ダーク・天体・デュアルバンド DUOバンド・ダークフレーム・赤外カット ダーク・赤外カット・光害カット(DUOバンド)
外付けフィルター SHO版付属NDフィルター 付属ソーラーフィルター 付属太陽NDフィルター 付属ソーラーフィルター 付属ソーラーフィルター
バッテリー容量・駆動 約5時間(天体モード) 10000mAh(約4〜5時間) 7000mAh(約4時間) 10000mAh(最大約9時間) 6000mAh(最大約6時間)
本体重量 約5.5kg 約1.35kg 約840g 約2.8kg 約1.65kg(三脚含む)
価格(税込) 249,999円(Standard)/ 289,999円(SHO) 79,999円 70,999円〜78,900円 207,900円 138,600円〜154,000円

DRACOの主要な特徴と他機種との相違点

光学口径とセンサー性能

DRACOは90mmの有効口径とF3.8の光学設計を採用しています。DWARF 3(35mm)、DWARF mini(30mm)、SeeStar S50 Pro(50mm)、SeeStar S30 Pro(30mm)と比較して集光面積が大幅に広く、淡い星雲や系外銀河の光を短時間で捉える能力に優れています。望遠撮像センサーには1/1.3型を採用し、天体モードにおける8192×6144の高解像度記録や、受光感度を高める2×2ビニング(4096×3072)に対応します。SeeStar S50 ProやS30 Proは4K解像度(3840×2160)、DWARF miniはフルHD解像度(1920×1080)の仕様となっています。

センサー物理回転による写野回転補正

DWARF各機やSeeStar各機はセンサーが固定されており、経緯台モードでの長時間露光・スタック撮影時には星空の回転に伴って画像の四隅がトリミングされます。DRACOは望遠撮像センサー自体が物理的に回転する機構を内蔵しており、経緯台の追尾中に発生する写野回転を物理的に相殺します。これにより、スタック合成後の構図欠けを防ぎ、センサー全面の画角を有効に活用できます。

独立ガイドスコープと単露光性能

DWARFシリーズやSeeStarシリーズはメイン撮像センサーを利用して天体位置の検出と補正を行います。対してDRACOは約400万画素の独立したガイドスコープとガイドセンサーを装備しており、主鏡での撮影と並行してリアルタイムに追尾誤差を監視・修正します。この機構により、1枚あたり最大300秒の単一フレーム露光が可能です。DWARF miniは赤道儀モード時に最大90秒、DWARF 3は最大60秒の単露光に対応しています。

ペルチェ素子冷却と排熱防曇機構

DRACOは望遠センサーにペルチェ素子による冷却機構を組み込み、センサー温度を外気温より5度から10度低下させて長時間露光時の熱ノイズを抑制します。さらに冷却時に生じる排熱を鏡筒前方の対物レンズへ送る排熱循環構造を採用し、結露を防止します。SeeStar S50 ProおよびS30 Proは結露防止ヒーターを内蔵していますがセンサー冷却機能は非搭載です。DWARF 3やDWARF miniはヒーターを含まない自然空冷設計となっています。

デュアルカメラおよびフィルター構成

比較対象のすべての機種が望遠と広角のデュアルカメラ構成を備えています。内蔵フィルターの設計において、DRACOはStandard版で天体用デュアルバンドと太陽用ND、SHO版で天体用デュアルバンドとS+Oフィルターを切り替えて使用します。SHO版では3種類の波長データを取得し、ハッブルパレット(SHO合成)の天体写真を出力できます。DWARF miniやDWARF 3、SeeStar S30 ProやS50 Proもそれぞれ光害カットフィルターやダークフレーム取得機構を内蔵し、都市部での星雲撮影に対応しています。

携帯性と導入時の検討事項

DWARF mini(約840g)、DWARF 3(約1.35kg)、SeeStar S30 Pro(約1.65kg)は片手で持ち運べる小型軽量設計であり、バックパックや旅行鞄に収納して容易に移動できます。SeeStar S50 Pro(約2.8kg)も可搬性を重視したサイズ感に収まっています。一方でDRACOは本体重量が約5.5kgの一体型ボディであり、小型モデルのような手軽な移動や卓上設置には向きません。安定した長時間露光を行うためには、十分な強度を持つ三脚の選定と安定した地面への設置が必要となります。