M74(ファントム銀河)を「SeeStar S50」で超光害地の都会から簡単に撮影する方法

スマート望遠鏡「SeeStar S50」でM74(ファントム銀河)を超光害地の都会から簡単に撮影する方法について解説します。

M74(ファントム銀河)とは?

M74(メシエ74)は「ファントム銀河」とも呼ばれる、うお座に位置する美しい渦巻銀河です。地球から約3,000〜3,700万光年離れており、天の川銀河とほぼ同じ直径(約95,000光年)を持つ大型銀河です。渦巻きの回転軸が地球に向いているため、渦状腕の構造が正面からはっきり見えます。また、近くにある銀河 NGC 660、UGC 891、UGC 1176、UGC 1195、UGCA 20とともにM74銀河群を形成しています。

基本情報 内容
星座 うお座
距離 約3,000〜3,700万光年
直径 約95,000光年(天の川銀河とほぼ同じ)
等級 9.2〜9.8等級(非常に淡く見えにくい)
分類 SA(s)c型渦巻銀河(グランドデザイン渦巻銀河)
発見 1780年、ピエール・メシャンによる
位置 Stellarium web版で見る

M74(ファントム銀河)は、日本では秋から冬にかけてが見ごろです。特に10月〜12月の深夜から未明にかけて、うお座が南の空に高く昇る頃が観測に適しています。ただし、メシエ天体の中でも特に淡く、双眼鏡での肉眼観測は難しいです。また、通常の天体望遠鏡や一眼レフでは撮影するのは大変ですが、スマート望遠鏡「SeeStar S50」を使えば簡単に撮影することができます。

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スマート望遠鏡「SeeStar S50」とは?

スマート望遠鏡とは、天体の電視観望に必要な機器(望遠鏡本体、電動フォーカサー、天体カメラ、制御用コンピューター、経緯台、ヒーター、光害カットフィルターなど)が1つにまとまった天体観測装置です。最大の特徴は、複雑な機材の組み合わせや設定が不要で、本体さえ購入すれば、手持ちのスマートフォンからすぐに天体撮影が始められる点にあります。

その中でも注目を集めたのが、2023年に登場した「Seestar S50」というスマート望遠鏡です。これは、天体カメラやASIAIRの開発で知られるZWO社が発売したスマート望遠鏡で、従来のスマート望遠鏡が数十万円以上と高価だった中、約6万円という驚きの価格で登場しました(現在は値上げで約85,000円)。

SeeStar S50の特徴をまとめると以下のとおり。

① 本体を設置・起動し、スマホアプリで星を指定するだけで撮影できる
(複雑な機材の準備や知識不要)
② スマホアプリだけで天体の撮影から画像処理まで行える
(PCや有料ソフトなしで、天体写真のノイズ除去や補正ができる)
③ 定期的なアップデートにより、機能が強化される
(AIノイズ除去、スケジュール撮影、モザイク撮影、4K撮影モードなど)
④ レンズや天体カメラの交換ができない(倍率固定)

「SeeStar S50」の詳細については、以下ページや解説動画集をご参照ください。

【SeeStar S50超入門】使い方や作例などを丁寧に解説
スマート望遠鏡「SeeStar S50」の使い方や作例について初心者向けに解説します。

SeeStar S50での撮影方法

スマート望遠鏡「SeeStar S50」で撮影する方法は以下のとおりです。(かなり簡単です)

① SeeStar S50とスマートフォンをWi-Fi接続し、アプリのトップ画面から「星雲・星団」 → 「銀河」をタップします。

② 「M74」の欄にある「Go To」をタップします。

③ 自動導入が完了したら、自動的に「画像補正の準備」 → 「オートフォーカス」 → 「ライブスタック撮影」が開始されます。撮影を数分くらい行ったら停止させます。

撮影結果(2025年11月28日)

以下の写真は、ボールド8.9の超光害地から「M74、ファントム銀河」をスマート望遠鏡「SeeStar S50」の4K撮影モードで41分間ライブスタック撮影したものです。

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