スマート望遠鏡「SeeStar S50」で皆既月食(2025年9月8日)を撮影した結果と振り返りについて解説します。
皆既月食(2025年9月8日)
2025年9月8日に、以下のようなタイムスケジュールで日本全国で皆既月食が見られました。(2022年11月8日以来、約3年ぶり)
日時 | 月の状態 |
---|---|
9月8日午前1時27分 | 部分食(欠け始め)が始まる |
9月8日2時30分~3時53分 | 完全に月が地球の影に入る皆既状態となる(月が赤銅色(しゃくどういろ)に輝く) |
9月8日4時57分 | 部分食が終わる |
参考文献:皆既月食(2025年9月) | 国立天文台(NAOJ)
■SeeStar S50で撮影した皆既状態の月
動画で見る
本ページの内容は、以下動画でも詳しく解説しています。
皆既月食を撮影した結果
結論からいうと、「皆既月食」の撮影は初体験でミスやトラブルがありつつも、月が「部分食」と「皆既食」になる状態をタイムラプス撮影することができました。以下の動画は、「SeeStar S50」で撮影した「部分食」と「皆既食」のタイムラプス動画(1秒間隔)です。変化がわかりやすいよう、16倍速にしています。
「部分食(始まり)」や「皆既月食」の途中で明るさが変化するのは、「露光時間」を撮影中に1msecから2msecへ上げたためです。部分食(終わり)のちらつきは、撮影中に雲が流れてきたためです。
ビデオスタック
ビデオスタックとは、動画の各フレームから画質の良いものを選び出し、位置を揃えて重ね合わせることで、ノイズを除去し、細部を強調する技術です。天体写真の場合、大気の揺らぎ(シーイング)によるブレを平均化できるため、月のクレーターをくっきり写すことができます。
以下の写真は、RAWモードで撮影した「皆既月食」の動画をビデオスタックした結果です。
部分月食中のフレームが混じった動画でビデオスタックしたため、右上が明るくなっています。SeeStarアプリでは、RAWモードで撮影した動画から不要箇所をトリミングする機能が見当たらなかったため、今回はこのままとしています。(PCソフトなら、動画の不要箇所を除外してからビデオスタックはできるかもです)
「SeeStar S50」でビデオスタックする方法については、以下ページと動画で解説しています。

撮影中のミスとトラブル
以下のように、部分食(始まり)の途中に寝落ちしてしまい、月の明るさに応じて「露光時間」と「ゲイン」を手動調整できないまま皆既状態に入ると、月の自動追尾ができなくなったトラブルがありました。(試行錯誤して、なんとか撮影を再開できましたが・・・)
時間 | 状態 |
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1時27分頃 | 部分食が始まる。「SeeStar S50」で月を天体ロック機能で自動追尾しながら、「露光時間」を1msec、ゲインを20にしてタイムラプス撮影開始。月が暗くなってきたら、「露光時間」を2に上げ、その後に寝落ちしてしまう。 |
2時30分頃 | 皆既状態になる。(寝落ちしたまま) |
2時40分頃 | 目が覚めてアプリ画面を見ると、月が全く映っておらず。「露光時間」と「ゲイン」を最大にするも月が映らないので、自動追尾から外れていると判断。タイムラプス撮影を停止し、月の自動導入を何度か試すも失敗。(月がかなり暗いため、見つけにくい?) |
3時00分頃 | 「星雲星団モード」で星図から月のすぐ上のエリアを自動導入すると一発成功。(月がかなり暗いため、月の傍でも月明かりの影響を受けにくく成功した?)すぐに、「太陽系(惑星撮影)モード」の撮影画面を開き直して、露光時間とゲインを最大にして、手動で下に動かすと「白飛びした月」を発見。クレータがよく見えるところまで「露光時間(300msecくらい)」と「ゲイン(250くらい)」を下げて、「天体ロック機能」で自動追尾させてから、タイムラプス撮影を開始。 |
3時53分 | 皆既状態が終わる。 |
4時57分 | 部分食が終わる。 |
■ 左:月のすぐ上を自動導入、右:皆既状態での「露光時間」と「ゲイン」を調整
皆既状態の月は暗く、SeeStar S50の自動追尾から外れてしまうと、再度の自動導入は難しいようです。万が一、自動追尾から外れてしまった場合は、上記のように「星雲星団モード」で星図から月のすぐ傍のエリアを自動導入し、すぐに「太陽系(惑星撮影)モード」に切り替えて、「露光時間」と「ゲイン」を最大にして手動操作で導入するのが有効でした。
また、天体の明るさが大きく変わるようなときは、「露光時間」と「ゲイン」を随時手動で調整する必要があるということもよくわかりました。
次回の皆既月食は、2026年03月03日にあるようですので、今回の振り返りを活かした撮影ができればと思います。
関連ページ & 動画
「SeeStar S50」で月を撮影する方法については、以下ページと動画で解説しています。

「SeeStar S50」の様々な使い方については、以下ページと再生リストで解説しています。

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